まず知っておきたい眼科医の見解
米国眼科学会(AAO)(英語)、米国緑内障学会、米国コンタクトレンズ眼科医協会は、健康な視力に害を及ぼした例が報告されていることから、美容目的の虹彩インプラント手術を強く勧めていません。AAOの瞳の色を変える手術と点眼薬(英語)の解説でも、これらの施術は視力低下につながりうるとし、純粋に美容目的の目の手術は視力を危険にさらすだけの価値がないと述べています。
以下の施術を検討している場合は、施術するクリニックと利害関係のない眼科専門医に相談してください。このページは各施術の仕組みと起こりうる問題を説明するもので、医学的な助言ではありません。
瞳の色を変える手術の種類
瞳の色を永久的に変える方法は主に3つあります。レーザーによる脱色素、虹彩インプラント手術、角膜色素沈着術(角膜へのタトゥー)です。仕組みもリスクもそれぞれ異なり、受けられるのは一部の国の限られたクリニックだけです。
1. レーザーによる瞳の色変更
レーザーで茶色い虹彩の表面にある色素細胞を壊し、色素が少しずつ排出されることで目が青く見えるようになります。色を足すのではなくメラニンを取り除く方法なので、茶色い目にしか使えず、変化は元に戻せないことを前提にしています。
この施術(Stroma Medical社が開発)がメキシコとプエルトリコで試験的に行われていた際、AAOは米国では臨床試験を経ていない(英語)と注意を呼びかけ、眼科医からは放出された色素が緑内障や眼の炎症(ぶどう膜炎)を引き起こすおそれが指摘されました。
2. 虹彩インプラント手術
シリコン製の人工虹彩を角膜の小さな切り込みから入れ、本来の虹彩を覆います。どの目の色でも変えられます。もともとはけがや先天的な理由で虹彩の一部または全部がない人のために作られたもので、美容目的ではありません。
AAOによると、重い合併症として視力低下や失明、緑内障につながる眼圧上昇、白内障、角膜の損傷などがあり、インプラントを取り出す必要が生じた患者もいます。美容目的の虹彩インプラントは米国FDAに承認されていません。
3. 角膜色素沈着術
針やレーザーを使って本来透明な角膜に色素を入れ、色のついた虹彩を覆い隠します。虹彩インプラントと同じく、虹彩の一部または全部がないことで視力に影響がある人のための施術です。
AAOは、とくに深刻なリスクとして、細菌や真菌の感染による視力低下、角膜の濁りやゆがみ、色素への反応による炎症(ぶどう膜炎)、色素が眼内に漏れ出ることを挙げています。
目の色を変える点眼薬
ネットでは、メラニンに働きかけて虹彩を明るくするとうたう点眼薬も売られています。AAOは、効果を示す証拠はなく、FDAにも承認されておらず、誰も使うべきではないとしています。汚染された製品は感染症を起こすことがあり、光のまぶしさ、眼圧上昇や緑内障、永久的な視力低下を招くおそれもあります。
リスクと副作用
3つの手術に共通して眼科医が挙げるリスクは、緑内障、白内障、炎症、角膜の損傷、感染症、そして永久的な視力低下です。合併症が数か月後や数年後に現れることもあります。結果が予測しにくいうえ、後悔しても完全には元に戻せないことがあります。インプラントを取り出しても、生じた損傷が治るとは限りません。
費用を左右する要素
これらの施術の費用について、信頼でき、かつ最新の公的な情報源は見つかりませんでした。そのためこのページでは金額を示していません。ただし、総額を左右する要素ははっきりしています。
- 施術とクリニック。 ごく一部のクリニックが行う自由診療の美容施術で、見積もりはクリニックや国によって大きく異なります。
- 渡航費。 多くのクリニックは海外にあります(AAOは、美容目的の虹彩インプラントを希望する米国人がパナマへ渡航していると伝えています)。航空券や滞在費も実際の費用に含まれます。
- 術後のケアと合併症。 経過観察の受診や、合併症の治療、インプラントの摘出は通常別料金です。美容目的の目の手術は、一般に公的医療保険の対象になりません。
クリニックからは、含まれるものと含まれないものを明記した書面の見積もりを受け取り、利害関係のない眼科医にも確認してもらいましょう。
より安全な代替手段
AAOは、瞳の色を一時的に変えるもっとも安全な方法として、資格のある専門家が処方し、フィッティングを行ったカラーコンタクトレンズを挙げています(AAO、英語)。
日本では、視力補正を目的としないおしゃれ用カラーコンタクトレンズも、厚生労働省によると2009年(平成21年)11月4日から視力補正用と同じ高度管理医療機器として医薬品医療機器法の規制対象です。PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、目に合った素材やカーブ、サイズを選ぶ必要があるため、購入前に眼科を受診するよう勧めています。眼科医が目の状態を検査したうえで、合ったレンズを処方します。
メイク、服の色、写真の照明でも、目がもともと持っている色味を引き立てることができます。自然光で見ると、琥珀、金色、緑、グレーなどの色味がはっきり見えることも少なくありません。
手術を受けるべき?
施術を検討する前に、クリニックと利害関係のない眼科専門医に選択肢を確認し、医師の実績を慎重に調べ、合併症が数か月後または数年後に出ることもあると理解してください。自分の目の色に不満がある場合も、AAOはまず眼科医に相談するよう勧めています。
まずは眼科で処方されたカラーコンタクトを試すことで、永久的な変更がリスクに見合うかどうかを判断しやすくなります。
出典(2026年9月確認): 米国眼科学会(AAO、英語)—美容目的の虹彩インプラント、瞳の色を変える手術と点眼薬、レーザーによる色変更、カラーコンタクトレンズ。厚生労働省—おしゃれ用カラーコンタクトレンズについて。PMDA—おしゃれ用カラーコンタクトレンズ Q9。